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| 岩槻 |
このフォーラムは、今年度は3回計画されております。今日は第1回ですから、自由に話を展開させていただきたいと思っています。
自然と人間との共生
フォーラムは、国際花と緑の博覧会記念協会が主催されています。90年の花博のときに「自然と人間との共生」という言葉が標語として使われました。最近では、例えば政府や地方公共団体から出しますさまざまな文章にも「人と自然の共生」あるいは、それに類した言葉が頻繁にでてきます。ところが、人と自然というのは、もともと自然(natural)
という言葉の反語は、人為・人工(artificial)ですから、相反する二つの言葉の間に共生があり得るのか、という非常に皮肉な言い方をされた方もおられるように、「人と自然の共生」というのは、テーマとしては非常に難しいテーマです。
コスモス国際賞の理念
そういうテーマを主題にした花博記念協会の活動の、重点を置いている事業の一つに『コスモス国際賞』という大きい国際賞があります。つい先日、第11回目の授賞式があって、受賞記念の講演会も大阪と東京でありました。そこでも花博の理念、『コスモス国際賞』の理念というものの議論がありました。今年、受賞されたのは、アメリカのミズーリ植物園のピーター・レーブン博士です。彼は、創設のときから第10回目まで、コスモス賞委員もやっていただいていて、『コスモス国際賞』自身に大きい貢献をしていただいた方ですが、そのピーター・レーブン博士が大阪と東京の講演会が終わって、いろいろ議論した最後に、「私は創設のときからコスモス国際賞にコミットしていて、“人と自然の共生に向けて”というテーマを非常に重要だと思っているけれども、そこで本当に何ができるのかというのが、まだ自分でははっきりと腑に落ちたわけではない」という言い方をしていました。今、並んでいただいているお二人、村上先生と小山先生は、『コスモス国際賞』の選考委員でもあります。『コスモス国際賞』について一番よくわかっていただいている方なので、これからお話を伺いながら、それがどういうふうに説明されるのかを、皆さんと一緒に考えさせていただきたいと思います。
総合的な視点
『コスモス国際賞』は人と自然の共生に貢献した人を顕彰するものですが、キーワードとしては、貢献された業績が地球的規模のものであるということ、もう一つは、統合的な視点に基づいた研究であることということです。20世紀の科学は、解析的・還元的に進められた成果が科学技術に結びついて、飛躍的な進歩があって、それで我々は、物質的に豊かになったという言い方がされますが、豊かになった我々が21世紀へ持ち越した課題が、環境問題と南北問題であるというのも、今では常識になっていることです。そういう問題を解決していくためには、解析的・分析的な研究をただ単に積み上げるだけではなく、統合的な視点で物事を見るという対応が必要ではないかと言われるようになりました。日本学術会議でも、そういうのを文理融合とか、俯瞰的な見方とかいうような言い方で表現しています。92年のリオデジャネイロの環境サミット、「リオ10」と言われました昨年度のヨハネスブルグサミットでは、サステナビリティ(持続性、地球の持続性)ということが強く訴えられました。最近では、それが、「サステナビリティ・サイエンス」という、日本語では「持続科学」とか「持続性の科学」とでも言うんでしょうか、そういうものをつくり上げる必要があるということが、あちこちで議論されているのが実際です。その意味では『コスモス国際賞』は、すでに11年前の発足当初からそのことを訴えようとしてきました。これまでの顕彰の成果を見て、本当に人と自然の共生に資することがどこまでできているのか、あるいは、統合的な視点による科学の推進にどういう役割を果たしてきたのかということもふまえながら、そういう非常に重いテーマがこれからどういうふうに生かされるのかを、このコスモスフォーラムを通じて検討していきたいということです。
これまで、花博記念協会が主催された2回の『賢人会議』では、地球規模で科学者が連携する組織として、アカデミア・コスモサーナという機構をつくろうじゃないかという提唱も行われています。そういうところでイメージする“統合的な視点で見る科学”とはいったい何かを論じたいということが、このフォーラムの趣旨です。
非常に重いテーマですから、多少、話が抽象的になる部分もあるかもしれませんし、難しい言葉遣いが出てくることもあるかもしれませんが、今日のフォーラムを活発に進めるためには、あらかじめシナリオを作ってシナリオ通りに動くということはやりません。3人の先生方には、こういうテーマを基に初めに15分ずつほどお話をいただいて、お話に基づいてお互いに話し合っていただこうという企画にしております。まず養老先生から、今のようなことについて最初のお話をお伺いいたします。
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