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| 松井 |
未来予測が難しくなった
そういうことですね。20世紀までの科学だと、ある初期条件を与えたら結果は必ずこうなりますよという種類の、ユニークネス(uniqueness)というか、因果関係がはっきりしなくなったということです。
例えば、初期条件が同じといっても、それを実際に数値化すれば、例えば、1.00000000……とゼロが無限に続くのと、0.99999999と9が無限に続くのとでは、同じではない。実はその初期条件の与え方によって結果が全然違ってしまうという世界があるのが分かった、というのが複雑系なわけで、そうすると、従来言われているような意味では予測不可能な現象も起こるわけです。ということは、過去を知ったから未来を予測できるかというと、これはそうとも限らないということになります。 |
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| 川勝 |
そうすると、乱暴な言い方をすると、科学なんかは当てにならないということですか。 |
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| 松井 |
当てになる部分と当てにならない部分がはっきりしてきた、と言うべきでしょうね。問題は我々がそれをどう使うかということです。依然として有効の部分だってあるし、有効でない部分もある。今までは、全部黒と白のどちらかに分けていたんだけれども、その間にグレーゾーンもあり、それをどう考えるかということを新たに突き付けられている、というふうに考えていいのではないかと思います。
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| 川勝 |
昔から「因縁(いんねん)」という言葉があります。「いん」は原因の「因」で、原因に対して何か結果が起こる。その関係を因果の法則にすると「科学の法則」になります。しかしもう一つ、縁(えにし)というものがあって、縁というのはいわば関係性で、縁起というのには何が起こるか分からないという偶然性が入っています。「因縁」には必然的な法則性と偶然的な関係性の両方があるのですが、「科学者が、科学のいわば因果の法則に対する、通常思われてきたような絶対的な信仰のようなものを、もう卒業しつつある」と言っていいですか。 |
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| 松井 |
関係性というところに注目していくと、実はそういう問題が出てくると言ってもいいでしょうね。要するに、ユニーク(unique)には決まらない問題がいっぱい出てくる、関係性という世界に入っていくとね。
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